メンタル マネジメント
2014-10-10

#2 メンタルのスポーツを制するメンタルの管理

2-1 論理と感性をつないで技術をより高める

星野プロ 私は今ジュニアから大人までのスイングを指導していますが、さまざまな年代のゴルファーのプレーを見ているとおもしろいことに気づきます。例えば、同じ場所から皆にアプローチさせると、まず小学生がチップインする確率はかなり高いのです。これは、「はいる」と考え、技術的なことには何も迷わず、感性を信じて打っているからだと思うのです。
 ところが中学生になると、不思議とはいらなくなってしまう。それは技術というものを考えはじめたからではないでしょうか。そして高校生はまた、いれることができる。それは単に技術がそれだけ上がったからと言えることもできますし、メンタル的な対処の工夫を自分で加味することができるようになる年代でもあるからだと思います。

佐藤教授 それはスポーツに幅広く当てはまることなんです。子供は感性で技術を身につけていきます。しかしあるときから、論理性を身につけていかないと勝てなくなってしまうため、「考えてプレーする」習慣を獲得します。しかしそれが行き過ぎると、論理がじゃまして感性が出てこなくなる危険があるのです。
 感性と論理は、ミックスしてうまく両方を生かすことが大切です。どちらも高めていくことで、よりよいプレーヤー、強いプレーヤーになっていくと言えます。こうしたことも含めて、スキルをより効率よく身につけるための方法論を提供し、「パフォーマンス向上に導く」ことも、スポーツ心理学の目的なのです。

星野プロ 確かに、練習の仕方や練習に対する考え方で、人それぞれ上達スピードが歴然と変わるのは、しばしば目にしていることです。そうしたことについてもスポーツ心理学の知見を紹介していただくのは楽しみですね。

メンタル第2回-1

2-2 ゴルフはメンタルのスポーツ

星野プロ ゴルフはメンタルのスポーツと言われます。その理由の1つめは長時間にわたってプレーしますが、実際に球を打つのはごくわずかな時間だけで、インターバルが長いこと。つまり、考える時間がたっぷりと与えられている。その間に、コースの状況や気候、同伴競技者のプレーなど心を乱す要素は次々に襲ってきます。そうした要素を1つひとつ自分の中で処理することこそ、「メンタルをマネジメントする」発想の重要なポイントだと思います。
 「メンタルのスポーツ」であるもう一つの理由は、止まっているボールを、自分のタイミングでプレーをはじめなければならないという点。ここに「緊張」という要素が大きく作用してきます。これについてはテニスのサーブにおいては方法論が確率されているようですから、詳しく紹介していただけそうですね。
 ゴルフは、スイング技術だけでなく、コースでのプレーにおける情報収集の力、情報を処理して判断する力、その中でプレーをイメージする能力、さらにはいくつかの選択肢から1つを選んで迷いを捨てる決断力などが頭の中での処理が多岐にわたって要求されるスポーツです。スイング技術以外は、すべて頭と心が関わる部分。これをなんとかすれば、スイングの向上だけではスコアアップに限界を感じている多くのゴルファーの夢を叶えられると思います。

佐藤教授 スポーツ心理学で競技能力に関わるメンタルについて12の要素が上げられています(忍耐力、闘争心、自己実現意欲、勝利意欲、自己コントロール能力、リラックス能力、集中力、自信、決断力、予測力、判断力、協調性)。メンタルというと、ブラックボックスのように感じてしまいますが、理論的な説明を学ぶことで、「メンタル」の中身が整理され、マネジメントもしやすくなるものです。
星野プロ ー本当ですね。では、次回から具体的な方法論の説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

メンタル第2回-2

メンタルマネジメント講師

星野豪史(ほしのごうし)
法政大学経営学部経営学科卒業(1997年3月)
1994年渡米、帰国後はJGTOツアー、JGTOチャレンジツアー、ASIAN PGA TOURに参戦、2002年より54GOLF CLINIC代表、2010年よりキッズゴルフ株式会社エグゼクティブディレクター として活躍中。2011年より東洋英和女学院大学体育会ゴルフ部コーチに就任。

メンタルマネジメント講師

佐藤雅幸(さとうまさゆき)
82年日本体育大学大学院体育学科研究科修士課程修了。専修大学教授(スポーツ心理学)、同大学スポーツ研究所所長。同大学女子テニス部の監督を務め、92年は王座優勝を果たした。現在は同女子テニス部統括。1994には、長期在外研究員としてカロリンスカ研究所(スウェーデン)に留学した。
松岡修造氏が主宰する「修造チャレンジ」におけるメンタルサポートの責任者としてとして活躍中。

星野プロと佐藤教授の取り組み

星野プロと佐藤教授が出会ったのは2011年の6月。松岡修造氏のテニスジュニアアスリートキャンプである『修造チャレンジ』の場だった。星野プロが2010年に設立したキッズゴルフ(株)、54GOLF CLINICにジュニアゴルファーが増加していたため、ジュニアへの指導を勉強させてほしいと松岡修造氏にお願いをした。そして、その『修造チャレンジ』で選手へのメンタルトレーニングを担当していたのが佐藤教授だった。メンタルトレーニングの重要性を認識した星野プロが佐藤教授に声をかけ、2013年よりジュニアアスリートゴルファー(小学4年~高校3年)向けにメンタルトレーニングを取り入れた『54GOLF K2 CAMP』と実施している。
【取り組みの様子はこちら】
54GOLF K2 CAMP 2013
54GOLF K2 CAMP 2014

  1. 1