メンタル マネジメント
2015-06-01

#12 性格とスポーツのパフォーマンス

12-1 性格とスポーツの成績に関連性はない

スポーツ心理学が研究を深めた「実力を発揮するためにできること」。今回からは、今までとは少し方向性の違うノウハウについて紹介する。それは「心理特性に応じた考え方、心の持ち方への働き掛け」とされる分野である

星野プロ 「この人は性格的にプロゴルファーに向いている」とか「あの人はゴルフには向いていない」などということが話題になることがあります。ゴルフは忍耐を強いる競技という一面を持っていますから、その意味では我慢強さという特性を持っている人が向いていると言えるのでしょうか。

佐藤教授 いい問題提起ですね。まず、スポーツ心理学では、「性格によって、スポーツにおけるパフォーマンスの善し悪しが決まってしまうことはない」とされていることを言っておかなければなりません。スポーツに限らず心理学一般に、性格によって例えば営業職、技術職といった仕事における業績の善し悪しが決まってしまうことはないとされているのです。
「社交的だから営業向き、コツコツ一つのことを追求するタイプだから技術職向き」などと考えがちですが、社交的でなくても営業で良い成績を上げる人もいるものです。つまりは、「Aという性格だから、この分野の仕事でいい成績を出す」ことはあり得るとしても、「それに不向きと見えるBという性格だが、工夫次第でいい成績を出せる」という点も見逃すべきではないのです。

星野プロ そうですね。ゴルフでも我慢を重ねて慎重なマネジメントでステディなプレーをコツコツ続けて勝つ人もいれば、イケイケでアグレッシブなプレーをすることで流れを引き寄せ、すごいプレーを成功させて勝ってしまう人もたしかにいます。それに、同じ人がまったく違う勝ち方をする場合もあるわけですしね。

12-2 新たな指標で自分の性格を探ってみよう

佐藤教授 そこで必要なことは、自分の性格を客観的にできるだけ正確に把握することです。歴史学者のアーノルド・J・トインビーは「現代人は何でも知っている。ただ自分のことがよく分からない」と述べているように、実は多くの人が「自分を知らない」状態であり、それによって良いパフォーマンスに導けていないのかもしれません。本当はそうではない資質をもっているかもしれないのに、「自分は追い込まれると弱い」とか「自分は競り合った戦いになったときに弱い」という自己評価をしていると、そうした状況になったときに「思い込み通り」に悪いパフォーマンスしか出せなくなってしまいます。

星野プロ なるほど、逆に「そういう状態で強い」と思い込んでおけば、良いパフォーマンスが出せたかもしれないということはあり得ますよね。しかし、自分の性格を正確に把握することは難しいと思います。

佐藤教授 何も指標がなければ漠然と探ることになりますが、便利なツールがあります。「矢田部ギルフォード性格検査」といって性格のタイプを12パターンに分かりやすく分類するものですが、このテストの概念を元にすれば実際にこの検査をしなくても、性格を5つのタイプに分類できるでしょう。
 非常に大まかだと感じるかもしれませんが、これだけでも「自分を知り、スポーツのシーンで(もちろんそれ以外のシーンでも)いいパフォーマンスを出すための方法を考えていくベース」として十分に役に立つものです。
 別表のように情緒的に安定しているか不安定か、行動は積極的か消極的か、という二つの指標で判定すると、その組み合わせで5つのタイプ(A=平均型、B=独善的、C=平穏型、D=管理型、E=異色型)に分かれます。細かく見ればAB複合などさまざまに細分化できるのですが、まずはこの程度で判定するだけでもいいと思います。

  1. 1
  2. 2