インタビュー
2015-07-08

天沼知恵子プロINTERVIEW~無理せず刻むが、スコアアップの近道

まずは、ライの見極め 番手を上げるのは、逆効果

クラブに絡みつくようなラフは、プロにとっても難儀なものとなる

 ラフにボールが入ってしまったら、まずやらなければいけないのは、「ライの見極め」です。同じラフでも、「これは打てそう」という場合もあれば、「これは出すだけで精いっぱい」ということもあるからです。

 例えば、芝が打ちたい方向に向かって生えている(寝ている)順目の場合は、割と普通に打っていけますが、反対の逆目の場合は、芝の抵抗がかなり強くなるので、必要な距離を届かせるのは至難の業です。また、打っていく方向に対して、芝が横に寝ているケースは、実際に打ってみるまでどんな球が出るか判断がつかないことが多いです。もしかしたら、この「横目」がいちばん難しいかもしれません。

 ラフに入っているボールを打つ場合、「番手を下げる」というのが基本です。7番アイアンで打つところを、8番か9番アイアンで打つ。アマチュアの場合、「芝の抵抗を受けるから」と、番手を上げる人もいるみたいですけど、これは逆効果です。 
 なぜかというと、芝に沈んでいるボールを打つと、インパクト時に、特にネック側に芝が絡みついて、フェースがかぶってしまうことが多いから。フェースがかぶるということは、ロフトが立つということですから、思ったよりもボールが低く出て、キャリーが出ないんです。そこで、ロフト角の大きい、短めのクラブを選ぶほうがいい。そして、少しフェースを開いて(目標より右に向けて)構えたら、強くインパクトしようとしないで、ヘッドの重さを使って、ゆったりと大きく振ります。

むしろ、フェースを返さないイメージで

 ラフだと、つい力が入って、強く手を返したくなってしまのですが、先述したように、フェースは勝手に返るので、むしろフェースを返さないという気持ちで打つといいでしょう。少しオープン・スタンスにして、スライスを打つようなイメージで臨むと、ちょうど真っすぐ打ち出せるのではないかと思います。

 パー5の2打目などで、残り距離がまだたっぷりある場合でも、無理に長いクラブを使うのはお勧めできません。確実にフェアウェイのいい場所に戻して、3打目勝負というのが、賢いプレーだと思います。刻むときに注意しなければいけないのが、飛びすぎて、またラフに入れてしまうこと。ただ何となくフェアウェイ方向に打つのではなくて、「あそこに打つ」という感じで、真剣に番手を選んで、確実に狙ってください。

 プロの場合は、たとえラフからでも、バーディ、あるいはパーを狙っていくのが仕事ですから、アマチュアの方にお勧めするような、完全な安全策は採らないことも多いです。でも、その分、痛い目に遭うことも多い。私の場合は、ラフからだと「フライヤー」がよく出るタイプ。フライヤーというのは、フェースとボールの間に芝が挟まって、適正なスピンが掛からずに、ボールが普段より飛んでしまう現象です。当然、フライヤーする分も計算して、きちんと番手を落として打っていくのですが、想像していたよりもはるかに飛んでしまって、グリーンを大オーバーということもたまにあります。もう、「そんなに飛んじゃうの!?」という感じ。ラフって、やっぱりそのくらい難しいってことなんですよ。

無理をしないことが、結果につながる

 プロのトーナメントは、全国各地を転戦しますが、北海道、あるいは東北のコースになると、ラフに使われている芝が、いわゆる「西洋芝」で、一気に難易度が上がります。芝の1本1本は細いのですが、密集度が高くて「粘っこい」ので、打つときにすごく抵抗があるんです。西洋芝のラフの場合は、番手を2番手くらい落とすこともありますし、ウッドを使う距離でも、ユーティリティを使ったりします。

 私がプロ・デビューした97年くらいから、2000年代の前半くらいというのは、女子ツアーでも、例えば女子オープンとか女子プロゴルフ選手権とかのラフのセッティングが、今よりかなり厳しかったように思います。芝が本当に長くて、無理に狙うと、1打罰では済まないような、そんな感じのラフでした。2000年の女子プロゴルフ選手権のときは、ティショットはできるだけ3番ウッドを使って、もしラフに入れてしまったら「絶対に刻んで3打目(4打目)勝負」と決めてプレーしたんです。そうしたら、最終的には2位タイ入賞。無理をしないことが結果につながるという、良い見本じゃないでしょうか。

 ラフからのショットで思い出すのが、2001年、「新キャタピラー三菱レディース」最終日のパー5の最終ホールです。ティショットがラフに入ってしまい、セカンドショットは5番ウッドで打ちましたが、これもラフに入れてしまいました。3打目は9番アイアンで打ったのですが、ピッチングウェッジみたいに高い球が出て、うまくグリーンに止められました。グリーンの近くで見ていたプロ仲間が「落ちてから全然転がらなかった」とあとで教えてくれたので、すごくうまく打てたんだと思います。そこから2パットのパーで、1打差の優勝。すごく、思い出に残っているショットです。

天沼知恵子プロProfile

1975年4月23日、静岡県御殿場市出身。91年、中学卒業と同時に地元の小田急西富士GCへ入社し、96年にプロとなる。2000年には自身初のシード権を手にし、翌年はカトキチクイーンズでツアー初優勝を飾るなど5勝を挙げて賞金ランクでは3位に入った。06年まで7年連続でシード権を確保したが、07年にシード落ち。11年に腰椎分離すべり症の手術を受け、12年から復帰している。

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