コース マネジメント
2015-09-28

厳しい設定で風を含めたリスクの管理が求められる~小樽カントリー倶楽部

 男子プロツアー『サン・クロレラ クラシック』の会場だった小樽カントリー倶楽部は、北海道屈指の名コースであるとともに、非常にタフなコースとして有名。スコットランドのリンクスを彷彿とさせる強い海風が、毎年プロを苦しめる。風の中で、どのように攻略ルートを探していくのか?特徴的な4つのホールを例に学んでいく。
※2012年9月発行「72ビジョンゴルフvol.29」に掲載されたものを編集、加筆して再録したものです。

ゴルフ場詳細

    
設計者 安田幸吉(設計) ダミアン・パスクーツォ(改修)
総ヤード数 7467Y / Par72
開催トーナメント サン・クロレラ クラシック(2004年~2012年)
所在地 〒047-0261
北海道小樽市銭函3丁目73
電話 0134-62-5051
FAX 0134-62-5666
アクセス ■車
札樽自動車道(「銭函IC」より4km(5分)
■電車
手稲駅北口タクシーで15分(1,500円)
サイト http://www.otaru-cc.com/

ティショットをラフに外した時の決断がポイント
<HOLE.10 583Y PAR5>

 小樽CCのバックナインは、フェアウェイにバンカーがなく、比較的のびのびプレーできるレイアウトの10番ホールからスタートします。プロなら2オンの可能性もあり、このコースでは数少ない、確実にパーを計算できるホールなので、ここでバタバタするようだと、バック9でリズムに乗るのは難しいでしょう。できればバーディを獲りたいホールですが、両サイドの林からの圧迫感が強く、フェアウェイは実際の幅よりもかなり狭く感じます。仮に、ティショットでフェアウェイをキープできなかった場合、2打目でグリーンを狙うのはあきらめざるを得ないでしょう。

小樽CCのラフは洋芝のため、長いクラブでグリーンを狙うのは、プロでも難しいというだけでなく、無理をすると手首などを傷める可能性もあるからです。小樽CCでいちばんやっかいなのは、風。林に囲まれたホールは、風の影響を最小限にするために、林の高さより上にボールを上げずに打っていきたいところです。つまり、このホールのティショットは、低いボールで出球の方向をコントロールしながら、なおかつ飛距離を出すという高い技術が求められるということになります。

グリーンの形状と手前の池が難易度を上げる
<HOLE.16 504Y PAR5>

 16番ホールは、パー5であるにもかかわらず、プロでもボギーが出やすい、難しいホールです。2打目地点から緩やかにドッグレッグした先にグリーンがあり、その手前に大きな池が広がっていて、これが難易度を高めています。2オンを狙うには、フェアウェイキープが絶対条件ですが、フェアウェイから打つ場合でも、上空の風次第で、池越えの第2打はかなりのリスクをともないます。だからといって、2打目を刻んで、3打目のウェッジ勝負を選んだとしても、池のプレッシャーから完全には逃れられないというのが、このホールの難しいところ。

なぜなら、グリーンが手前の池に向かって傾斜していて、短いクラブで打つほど、スピンで戻って池に入る可能性が出てくるからです。また、このホールは、縦に細長い形のグリーンが、プレーラインに対して斜めに配置されている、「レダンタイプ」なのが特徴です。レダンタイプは、カップがどこにあっても奥行きが狭くなるという難しさがあり、これに上空の風の影響が加わるために、番手選びにはかなり神経を使うことになるでしょう。こういう場合、左右のぶれよりも、ショートやオーバーのほうがスコアを崩す原因になることが多いので、「縦の距離」を最優先して打つことが大事です。もし、安全策をとるなら、2打目ではグリーンの左サイドを狙います。ここからのアプローチも決してやさしくはないのですが、上手く寄せられればバーディの可能性が残ります。

外しどころを考慮した戦略が求められる
<HOLE.17 190Y PAR3>

 17番ホール(190ヤード)は、アゲンストになった途端に、実質200ヤードをはるかに越える長いパー3となるので、ティショットは「もし外すならどこがいいか」ということまで計算して打つ必要があります。このホールはグリーンの手前と左右にバンカーがあり、奥はラフになっています。3つあるバンカーのうち、いちばん寄せやすいのは、グリーン右サイドのバンカーなので、プロなら、「最悪、このバンカーには入れてもいい」という狙い方をするでしょう。

例えば、このバンカーの上からつかまったドローで打つのが、このホールの理想的な攻め方のひとつです。もし、ドローがかかりきらずにバンカーに入ったとしても、それは最初から織り込み済みというわけです。もちろん、最初からグリーンを外すつもりで狙うわけではなく、グリーンを狙うたくさんのルートの中から、最もリスクが低いものを選ぶとそうなるということです。グリーン手前と左サイドのバンカーは、右のバンカーほどやさしくはないので、寄せるのは簡単ではありません。またグリーンの奥からは、下りのアプローチが残る上に、ラフでスピンの計算がまったく立たないので、寄せられる可能性は低いでしょう。

ティショットの精度がスコアの明暗を分ける
<HOLE.18 462Y PAR4>

 このホールはティショットが攻略のカギで、フェアウェイをキープすることで、パーやバーディのチャンスはぐっとひろがります。グリーンは2段になっているものの、傾斜自体は素直でそれほど複雑ではなく、カップと同じ段で6~7メートル以内につけられれば、1パットで決められる可能性がまずまずあるからです。462ヤードと長めのパー4で、しかも打ち上げですが、だからといって振り回すのではなく、緻密なポジショニングが必要ということです。

ホールはわずかに左にドッグレッグしているので、ティショットはフェアウェイ右サイドを狙います。左のラフに外すと、林が邪魔でグリーン方向には打てなくなるので、ほぼ1ペナに近いミスとなります。このホールも当然、風の影響を強く受けますが、仮に風が横方向に吹いている場合は、風に逆らわずに打つというのが基本です。球筋を変える必要があるのは、打ち出す方向に木や林などの障害物がある時だけです。例えば、持ち球がドローの人は、普段からボールを右に打ち出しますが、風が右から吹いている場合は、打ち出す方向がかなり右になってしまい、その方向が林ということも考えられます。その場合は、普段より少しだけつかまりを抑えて、ストレートに近い球筋を打てば、右の林を避けられます。持ち球とは逆の、フェードを打てば、もっと確実に林を避けられそうですが、そういう極端な球筋の操作は、プロでもしないのが普通です。

講師:横田英治

ETGS(江連忠ゴルフスタジオ)所属、プロゴルファー。15歳でゴルフを始め、高校、大学で活躍後、1996年プロテスト合格。ツアープレーヤーを経て、ETGSに所属しプロを目指すアスリートから一般ゴルファーの指導を始め、メディアにも多数出演している。「狙う、構える、打つ」という3つの基本をベースに個性を生かし、レベルアップの楽しさに導く指導が人気。