メンタル マネジメント
2016-05-31

♯22 上達を妨げるさまざまな感情への対処

青年期特有の「悩み」で練習効率が低下する?

スポーツ心理学の研究から導かれた「スポーツでの成功への方法論」。成功への道のりは長い。その道のりを行く中で、スポーツの上達のための活動に集中できなくなることもあるだろう。そういう時の対処に話が及んだ。


星野プロ 前回「いつまでも上達して行くため」というテーマでお話をいただきました。ゴルフはいくつになっても上達の余地がありますから、そのために皆さん、練習に取り組んでいらっしゃいます。でも、私がジュニアや、高校生、大学生の指導をしている中で感じるのは、いろいろな『生活上の悩み』が大きくなると、上達のために意識を注げなくなってしまうことがあるということです。

佐藤教授 そうですね。人生を生きて行く上で、いろいろなことがあります。それが「スポーツに打ち込む」こと以上に、心を占めてしまうことはありますよね。

 でも、こんなお話があります。ある、金メダルを有望視されていた選手がオリンピックの直前に、お父さんが亡くなってしまい、悲しみにくれて、試合に集中できなくなってしまったそうです。試合が始まっても気持ちが乗ってこない状態を感じたコーチが予選終了後、選手を部屋に呼んで「ここで泣いていい。いくら泣いても、取り乱してもいいから、心の中にある感情を全て出してしまいなさい」と思い切り泣かせたそうです。そして、しばらくしたあとに「よし、じゃあ、ここからは切り換えよう。そして、金メダルを目指して全力で向かうんだ!」と、選手のメンタルのスイッチを入れたそうです。その結果、選手は不安や悲しみを乗り越えて、金メダルを取りました。

星野プロ 悲しみや悩みは、抱えたままではなく、解消する方法をもっておきたいものですよね。

佐藤教授 練習に集中するための精神状態を整えるためには、この選手のように、悩むときには思い切り悩むこと、悲しむときには思い切り悲しむこと。そういう時間をもつことが、案外立ち直る近道になることが多いことは知ってほしいですね。だらだらと長時間悩むのは精神的にも慢性疲労に陥ります。

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